2005-01-01から1年間の記事一覧

探偵三影潤全集(1)白の巻

仁木悦子『探偵三影潤全集(1)白の巻』(出版芸術社 2005年2月20日発行 定価¥1,600+税) 収録作品は長篇1つに短篇2つ、『冷えきった街』(1971年作品)、『白い時間』(1973年作品)、『白い部屋』(1980年作品) 仁木悦子はやはりいい。 三影潤ものは…

五十嵐貴久『TVJ』

五十嵐貴久『TVJ』(文藝春秋 2005年1月10日発行 定価¥1,800+税) 占拠されるテレビジャパン社屋の見取り図が一番最後のページにあるなんて。 そんな気づかないところに置かれても。 読み終わった後に見取り図を見てもそれじゃ意味がないでしょう。 不…

乾くるみ『リピート』

乾くるみ『リピート』(文藝春秋 2004年10月25日発行 定価¥1,571+税) おもしろい。 ケン・グリムウッド『リプレイ』(新潮文庫)ネタを、といっても『リプレイ』を元にしたドラマ『君といた未来のために』(日本テレビ 1991年放映 堂本剛・遠藤久美子・仲…

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』(講談社 講談社ノベルス 2005年3月5日発行 定価¥860+税) 中篇3つに掌編1つ。 せっかく昨年の『スイス時計の謎』と『虹果て村の秘密』でデビュー当時のロジック・ミステリが戻ってきたと思っていたら本作品でいつもの火…

伊藤典夫編『SFベスト201』

伊藤典夫編『SFベスト201』(新書刊 2005年6月10日発行 定価¥1,600+税)を買った。 SFの古典から現代までの名作・傑作201冊を紹介するガイドブックだとばかり読み始めればそうではなかった。 紹介されているのはほとんどが1980年代から19…

いつ買うか

『日影丈吉全集 別巻(エッセー+雑録)』(国書刊行会)を本屋で見かけた。 今までの中で一番厚いし高い。 第8巻の未刊行短篇を集めた巻で税込み1万円を超えて最終巻はそれよりも高くなった。 いずれ買うのだけれど今月これを買うとあとは何も買えないか…

なぜうけたのか

『クライム・クラブへようこそ (植草甚一スクラップ・ブック18)』を本屋で見かけた。 東京創元社の「クライム・クラブ」、「現代推理小説全集」の解説を収録した巻。 これもいずれ買わなければ。 全部読んだわけではないのだが、「クライム・クラブ」、…

日向まさみち『本格推理委員会』

日向まさみち『本格推理委員会』(産業編集センター 2004年7月31日発行 定価¥1,100) プロローグに「当然ながら事件の犯人は論理的な思考によって導き出された」と書かれていたので「ライト・ノベルの中の数少ないロジック・ミステリか」と読み始めるとそれ…

ピノキオ

ケーブルテレビのムービープラスでクリス・コロンバス監督ロビン・ウィリアムズ主演『アンドリューNDR114』を放映していたので見た。 この映画と同じピノキオテーマ*1の映画の近作に『AI』があるがそれよりもバランスがとれた映画だ。 『AI』は、キュ…

金庸『天龍八部』

金庸『天龍八部』(全8巻 1957年作品 徳間書店)読了。 読み始めると巻置くあたわずのノンストップ・ジェットコースター・ノベルを読み終わった。 一段組みとはいえ1巻350ページ8巻を、日曜日の昼から2日半ひたすら読み続けたので疲れた。 けれどとて…

氷河期?

『ミステリ・マガジン2005年7月号(No.593)』の海外ミステリ情報の中で浅羽莢子が 「どこまで続くコージー氷河期・・・」 と書いている。 おや、「コージー・ミステリ」の今はそのような状態だったのか。

イギリスのミステリ作家がクリスティを嫌う事情

ミステリ・マガジン連載の「英国ミステリ通信」の第79回(『ミステリ・マガジン2005年7月号(No.593)』)で松下祥子が 「イギリスで、クリスティは今でも確かに本が売れテレビ・ドラマも高視聴率を上げているがP・D・ジェイムズやルース・レンデルの世代…

森谷明子『れんげ野原のまんなかで』

森谷明子『れんげ野原のまんなかで』(東京創元社 ミステリ・フロンティア 2005年2月28日発行 定価¥1,500+税) 市の外れにある利用者の少ない図書館(館長と職員3名プラスアルバイト数名)を舞台にした日常ミステリ。 全5話からなる連作短篇集。 加納朋…

『ハードボイルド』に二言 

原りょう『ミステリオーソ』(早川書房 ハヤカワ文庫JA 2005年4月30日発行 定価¥600+税)、『ハードボイルド』(早川書房 ハヤカワ文庫JA 2005年4月30日発行 定価¥600+税)を買った。 単行本版『ミステリオーソ』(早川書房 1995年6月発行)の増補版…

その3:新・箱根クロースアップ祭(第13回)レポート

新・箱根クロースアップ祭に参加するとマジックグッズがおみやげにもらえる。 と言ってもマジックのネタそのもではなくマジックの素材となるもの、がである。 これをどのように使うかは各自自分で考えてみよう、というわけだ。 今年はトランプ。 裏の色が緑…

蔵書紹介その11「雑誌 幻影城」

雑誌『メフィスト』(講談社)今月号に有栖川有栖台湾行きのエッセイ、雑誌「幻影城」島崎博編集長に会う、が載っているという話をきいて本日はこれ。 『雑誌 幻影城』の創刊号(1975年2月号)から1年分。 最初の頃の表紙絵はおどろどろしい。 1976年に山野…

解説としてはいかがなものか?

この青い鳥文庫版『三幕の悲劇』の解説で数藤康雄が 「とちゅう退屈な部分がないこともない作品ですが最後まで読みとおしてくださいね」 と書いている。 退屈か退屈でないかは読む人で違う。 また、「クリスティには退屈なところがある」と青い鳥文庫でクリ…

青い鳥文庫版のクリスティ

青い鳥文庫版のアガサ・クリスティはどれも読みやすい。 ミステリ・マガジンの元編集長で評論家・翻訳家の各務三郎が『はじめて話すけど』(フリースタイル 2002年7月発行)の中で、大人向けミステリを子供向け本で完訳するのは大人向け本の完訳より技術がい…

月に一度のクリスティ

今月は『三幕の悲劇』(Three Act Tragedy、1935年作品) 講談社青い鳥文庫版『三幕の悲劇』(花上かつみ訳 2004年8月15日発行 定価¥760)で読んだ。 毎度同じく今回も話の内容をすっかり忘れていたので楽しめた。 クリスティには殺人の動機がミスディレク…

その2:新・箱根クロースアップ祭(第13回)レポート

ハウダニットの謎解きミステリのトリックは「なになにもの」と分類できるものがある。 例えば「密室もの」だとか「アリバイ破りもの」だとか。 マジックのトリックも「なになにもの」と分類できるものがある。 『Oil and Water』もその一つ。 コンセプトは誰…

その1:新・箱根クロースアップ祭(第13回)レポート

最後まで書こうと、毎年思いながらいつも尻切れトンボで終わってしまう「新・箱根クロースアップ祭」のレポート。 今回は最後までなんとか書き続けようと考えている。 レポートを始める前に、まず「新・箱根クロースアップ祭」とは何かを書いておこう。 * * …

『第13回新・箱根クロースアップ祭』

4月9日(土)、4月10日(日)の二日にわたって行われた『第13回新・箱根クロースアップ祭』に参加した。 日本で唯一のクロース・アップ・マジックのみのマジック・コンベンション。 とても充実した二日間を過ごすことができた。 今回はしっかりレビュ…

『愚か者死すべし』読了

箱根の行き帰りの電車の中で原りょう『愚か者死すべし』(早川書房 2004年11月30日発行 定価1,600+税)を読み終わった。 やはりチャンドラー色はとても薄い。 前三作とも色が違う。 似ている作風を探すとマイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンも…

チャンドラー離れか?

遅ればせながら、原りょう『愚か者死すべし』(早川書房 2004年11月30日発行 定価1,600+税)を読み始めた。 原りょうの小説は、ロス・マクドナルドのプロットをチャンドラー『長いお別れ』の訳清水俊二の文体で書いたもの。 日本人の作品で比べると生島治郎…

そして誰も・・・

本日の読了本は、今邑彩『そして誰もいなくなる』(中央公論社 C★NOVELS 1993年8月25日発行 1993年当時定価¥780) クリスティ『そして誰もいなくなった』の本歌取りミステリ。 『マリオネットの罠』の頃の赤川次郎作品のような感じがするお話だ。 『そして…

このごろお金を出して買う本は・・

このごろは、小説本はとても好きな作家以外買っていない。 古本の小説本はもともとそうだったけれど最近買うことはめったにない。 小説本は買うときりがない。 買うときは読む気いっぱいでももしかすると積読になってしまう本を買うことは持っていること自体…

チェスター・ハイムズ「夢にうつつに」(『ミステリ・マガジン2005年5月号(No.591)』から) 

『ミステリ・マガジン2005年5月号(No.591)』(早川書房 2005年5月1日発行 定価¥840) 特集は「ブラック・ライターの系譜」 黒人作家の特集。■チェスター・ハイムズ「夢にうつつに」 (高橋知子訳 Chester Himes「On Dreams and Reality」) 長い刑務所暮…

恩田陸『Q&A』(幻冬舎 2004.6.10発行)を読んで「これと違う展開をしてくれればよかったのに」と思ったことが一つ。 『Q&A』の前半は、公共機関のようなのだけれど得体の知れない機関が事件に遭遇した人たち一人一人へのインタビューで話がすすむ。 …

刑事コロンボ完全版購入 

買った。 全45話完全収録。 『刑事コロンボ 完全版 コンプリート DVD-BOX*23枚組』(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2005年3月25発売 定価¥26,250)刑事コロンボ コンプリートDVD-BOX出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売日…

その1

恩田陸『ユージニア』(角川書店 2005年2月3日発行 定価¥1,785)を読み始めた。 最初の2章を読んだところ。 『Q&A』(幻冬舎 2004年6月10日発行 定価¥1,700+税)と始まり方がよく似ている。