ミステリ

ある翻訳家の死

本日発売のミステリマガジン最新号(2006年11月号)で翻訳家・菊池光が今年6月に亡くなったことを知る。 菊池光は器用な翻訳家では無かったが、肉体を痛めつける話の訳では冴えに冴えていた。 ディック・フランシス、ロバート・B・パーカー、ギャビ…

50年後は2009年

レイモンド・チャンドラーRaymond Chandlerが亡くなったのは1959年の3月26日。 著作権の保護期間は、作者の没後50年。 2009年になると、『おそらく各社がどっと新訳を出すだろうと言われている』と読んだのは吉野仁のサイトで。 誰が訳すだろう…

奇術作家の新刊

本屋に寄った。 泡坂妻夫さんの新刊『春のとなり』(南雲堂 2006年4月発行)を見かけた。 ここ最近雑誌「ミステリーズ」に載った犯人当て懸賞ミステリ以外ミステリを書いていない泡坂さんの新刊はもちろんミステリでは無い。 『このミステリーがすごい!(2…

カーは・・・

トリノ・オリンピックの聖火台についた火は聖火ランナーが持ってきた火じゃなくて花火の火じゃないんかい、と誰かつっこまないかな? * * * * 『SFが読みたい! 2006年度版』(早川書房 2006年2月15日発行 定価¥700+税)の池上永一インタビュウに『…

お一人でご覧になる方はご遠慮下さい

『心臓の弱い方、お一人でご覧になる方は、この「恐怖劇場アンバランス」はご遠慮下さい...』 このナレーションを久しぶりに聞き見た。 円谷プロ制作の『恐怖劇場アンバランス』(1973年1月〜1973年4月放映)の第一話『木乃伊の恋』は清順監督。 チャンネル…

フィリップ・マーロウは

文庫占い(http://u-maker.com/202124.html)はハヤカワ文庫でした。 * * * * 太田忠司『予告探偵 西郷家の謎』(中央公論社 C*NOVELS 2005年12月15日発行 定価¥900)読了 この最後はいったい・・・。 わたしゃ好きだが怒る人がたくさんいそうだ。 * * * * …

古畑任三郎ファイナル第1夜

古畑任三郎ファイナル第1夜「今、蘇る死」 1月3日21時半、フジテレビ。 事件が起きた東京の外れにある村の名前が鬼切村。 そして石坂浩二。 わらべ歌・鎧・その他諸々と横溝映画パロディのような始まり方をしたので、「こういった趣向は『トリック』の…

相棒新春スペシャル

『相棒』第4シーズン第11話「汚れある悪戯」を見た。 1月1日夜9時テレビ朝日、2時間半の新春スペシャル。 葉月里緒奈がゲスト。 謎解きものとしてはいまひとつだがクライムノベルとしておもしろい話だった。 葉月里緒奈は演技派だとは思わないのだが…

書庫

11月11日(金)21時テレビ東京『所さんのそこんトコロ』 学校では教えてくれない疑問に答えてくれる番組。 折り紙の達人が出るとの情報をもらって録画しておいたのを本日見た。 折り紙の話はまたいつかすることにして今日は別の話。 「国会議員はどこ…

B13号船室−北村薫トークセッションその1

カーのラジオ・ドラマ『B13号船室』(『カー短編全集4 幽霊射手』(創元推理文庫))の中でヒロインが<パリの万国博覧会を見に母娘がパリに来てホテルに泊まり娘が外出して戻ってみると母親がいなくなる>話が気になってならないという場面が出てくる。…

忍法帖をつぐ者

獅子宮俊彦『砂楼に登りし者たち』(東京創元社 ミステリ・フロンティア14 2005年4月15日発行 定価¥1,500)を読書中。 この人、山田風太郎風の忍法小説・伝奇小説を書けそうな気がする。 数年前『太閤の復活祭―関ヶ原秘密指令』を書いた中見利男も書けそう…

 今月のクリスティ再読。

アガサ・クリスティ『象は忘れない』(Agatha Christie 『Elephants can Remember』 1972年作品)(中村能三訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫 1979年1月31日発行) 年代順でいうとクリスティが書いた最後のポアロもの。 (『カーテン』は若いときに書いた…

『姑獲鳥の夏』

映画『姑獲鳥の夏』を見てきた。 実相寺昭雄が『怪奇大作戦』のノリで撮った京極ワールド。 かなり楽しめた。 上映時間133分が苦にならなかった。 でも、これは見る人によって賛否両論分かれそう。 実相寺好きならたぶん楽しめるはず。 ○あの分厚い作品を…

『ねずみとり』は謎解きミステリ劇としてはどうなんだろう

アガサ・クリスティ『ねずみとり』(The Mousetrap、1947年作品)はクリスティの他の戯曲に比べて謎解きミステリ度はどうなんだろう。 というのは後半のトロッター刑事のミス・ケースウェルへの尋問シーンに違和感を覚えるのだ。 今まで『そして誰もいなくな…

書店にて−ミステリ好きの会話

昨日リブロ池袋で「さて、どちらを今日は買ってかえろうか」と2冊の本を目の前に悩んでいると、声をかけられた。 「SRの会」、「ROM」で知り合ったMさんだった。 手にはハヤカワ・ポケット・ミステリの新刊ポール・アルテ『カーテンの陰の死』を持っ…

マニアだったとは

吉村達也がマジックをするとは知らなかった。 吉村達也『マジックの心理学−推理作家による謎解き学』(角川書店 角川oneテーマ21 2005年7月10日発行 定価¥724+税)を購入。 15分ほど斜め読みしただけなのだがまずわかることは「この人、マニアだ。特にク…

三匹の盲目のねずみ

三百人劇場で公演している大和田伸也演出の『マウストラップ』を見てきた。 アガサ・クリスティが書いた戯曲、1952年作品。 (わざわざ英語読みにせず『ねずみとり』のままでいいんじゃないかとは思うのだが) 2年前の公演より楽しめた。 モリー・ロールス…

本の交換会-テーマは『書物に関する本』

1年に1回か2回、インターネット上で知り合ったミステリ好きの仲間でオフ会をしている。 昨日はそのオフ会。 このオフ会では好例行事があり、それはあるテーマを決めてそのテーマに沿った本を持参して交換をしようというもの。 今回のテーマは『書物に関す…

エド・マクベイン死去−2005年7月6日

エド・マクベインEd Mcbainが亡くなった。 享年78歳。 インターネット上の知人に教えてもらった。 最新翻訳作品の87分署『歌姫』(『The Fruimious Bandersnatch』、2004年作品)や「ミステリ・マガジン2005年4月号(No.590)」に載った短篇『即興』(『…

古典のこと

ミステリ・SF好きの人たち何人かのブログに「古典」についての記述がありお互いの論旨が少しずれているような気がしたので一言。 たぶんそれぞれ「古典」の定義が違うのだろう。 ○古典(あるいはクラシック)とは書かれた年代が古い作品を指すのでは無い。…

悪魔の折り紙

下の<ヨーダ>折り紙と同じURLにミステリとの関連が深い折り紙の画像が載っている。 それはこちら↓ http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/origami/akuma.html 綾辻行人の館シリーズで島田潔が折っていた作品である。 折り紙は本サイトのテーマであるマジック…

小路幸也『HEARTBEAT』

小路幸也『HEARTBEAT』(東京創元社 ミステリ・フロンティア15 2005年4月28日発行 定価¥1,500+税) 青春ミステリの快作。 たぶん村上春樹の影響を受けているのだろうが、伊坂幸太郎作品と同じく村上春樹の物まねでなく独自の路線を出している作品。 謎解き…

魔法の杖

「ROM no.123」はジョン・バカンの特集。 邦訳のあるバカンの作品で読んでみたいのだがなかなか手に入らない作品がある。 それは『The Magic Walking Stick』 邦訳名は『魔法の杖』(版によって『まほうのつえ』だったり『魔法のつえ』だったりする)(講談…

密室の原理

『有栖川有栖の密室大図鑑』をパラパラめくっていて折原一の『天外消失事件』がおもしろそうだったので、そういえば折原一『五つの棺』は読んだけれどこれは読んでいなかったなと『七つの棺』(東京創元社 創元推理文庫 1992年11月27日発行)を読んでみた。 …

探偵三影潤全集(1)白の巻

仁木悦子『探偵三影潤全集(1)白の巻』(出版芸術社 2005年2月20日発行 定価¥1,600+税) 収録作品は長篇1つに短篇2つ、『冷えきった街』(1971年作品)、『白い時間』(1973年作品)、『白い部屋』(1980年作品) 仁木悦子はやはりいい。 三影潤ものは…

五十嵐貴久『TVJ』

五十嵐貴久『TVJ』(文藝春秋 2005年1月10日発行 定価¥1,800+税) 占拠されるテレビジャパン社屋の見取り図が一番最後のページにあるなんて。 そんな気づかないところに置かれても。 読み終わった後に見取り図を見てもそれじゃ意味がないでしょう。 不…

乾くるみ『リピート』

乾くるみ『リピート』(文藝春秋 2004年10月25日発行 定価¥1,571+税) おもしろい。 ケン・グリムウッド『リプレイ』(新潮文庫)ネタを、といっても『リプレイ』を元にしたドラマ『君といた未来のために』(日本テレビ 1991年放映 堂本剛・遠藤久美子・仲…

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』(講談社 講談社ノベルス 2005年3月5日発行 定価¥860+税) 中篇3つに掌編1つ。 せっかく昨年の『スイス時計の謎』と『虹果て村の秘密』でデビュー当時のロジック・ミステリが戻ってきたと思っていたら本作品でいつもの火…

いつ買うか

『日影丈吉全集 別巻(エッセー+雑録)』(国書刊行会)を本屋で見かけた。 今までの中で一番厚いし高い。 第8巻の未刊行短篇を集めた巻で税込み1万円を超えて最終巻はそれよりも高くなった。 いずれ買うのだけれど今月これを買うとあとは何も買えないか…

なぜうけたのか

『クライム・クラブへようこそ (植草甚一スクラップ・ブック18)』を本屋で見かけた。 東京創元社の「クライム・クラブ」、「現代推理小説全集」の解説を収録した巻。 これもいずれ買わなければ。 全部読んだわけではないのだが、「クライム・クラブ」、…