日向まさみち『本格推理委員会』

 日向まさみち『本格推理委員会』(産業編集センター 2004年7月31日発行 定価¥1,100)

 プロローグに「当然ながら事件の犯人は論理的な思考によって導き出された」と書かれていたので「ライト・ノベルの中の数少ないロジック・ミステリか」と読み始めるとそれは違った。

 作者あとがきでは『自分なりに神経を使って文章を書き、胸を張って「本格だ」と言えるものを仕上げたつもりです』と書かれているのだが、「本格ミステリ」の定義は人により違うのだけれど、この作品を「本格」とは呼べない。

 謎解きミステリ好きメフィスト系作家が書きそうな謎解きミステリアイテムを並べた、<これは少し無理がないか>な仕掛けが入った青春ミステリだった。

 では、おもしろくなかったかと言われるとそうでもなく、あまりにも青春ミステリしているヒューマニズムには気恥ずかしくなるのだけれどライト・ノベル好きなら楽しめるミステリだ。

本格推理委員会

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