チェスター・ハイムズ「夢にうつつに」(『ミステリ・マガジン2005年5月号(No.591)』から)
『ミステリ・マガジン2005年5月号(No.591)』(早川書房 2005年5月1日発行 定価¥840)
特集は「ブラック・ライターの系譜」
黒人作家の特集。
■チェスター・ハイムズ「夢にうつつに」
(高橋知子訳 Chester Himes「On Dreams and Reality」)
長い刑務所暮らし。
刑期を終えて出所したもののそこには夢見た幸せな暮らしは無く・・。
* * * *
黒人刑事のコンビ「墓堀エドと棺桶ジョーンズ」シリーズを書いた作家。
「墓堀エドと棺桶ジョーンズ」は一冊ぐらいは読んでおきたいと思っているシリーズなのだが読んだことがない。
角川文庫とハヤカワ・ポケット・ミステリで1970年代最初の頃数冊翻訳が出ているのだけれど縁薄いのである。
この頃出た邦訳ミステリ、特にハードボイルド・ノワール・サスペンス作品は手に入りにくいのだ。
謎解きミステリばかりでなくその他のジャンルのミステリも埋もれているものいくつか復刊してほしいものである。
ただ、そう売れないとは思うが。
さて、この短篇、解説によるとミステリに手を染める前の作品とのこと。
救いのない話で、フランスの暗黒小説(ノワール)のような終わり方をする。
「墓堀エドと棺桶ジョーンズ」シリーズのことを暴力刑事ものなのだろうとかってに想像していたのだがノワールに近い作風なのかもしれない。
と書きながら解説を読みなおしてみるとシリーズの一冊め『イマベルへの愛』(『For Love of Imabelle(A Rage in Harlem)』 1957年作品、尾坂力訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ1142 1971年4月15日発行)はチェスター・ハイムズがフランスでセリ・ノワール叢書の監修者に薦められて書き始めた初めてのミステリ作品とのこと。
ますます読みたくなった。
なんとかして読んでみることにしよう。