『ハードボイルド』に二言 

 原りょう『ミステリオーソ』(早川書房 ハヤカワ文庫JA 2005年4月30日発行 定価¥600+税)、『ハードボイルド』(早川書房 ハヤカワ文庫JA 2005年4月30日発行 定価¥600+税)を買った。

 単行本版『ミステリオーソ』(早川書房 1995年6月発行)の増補版(元版の1.5倍)を二分冊にしたとのこと。

ミステリオーソ―映画とジャズと小説と

ミステリオーソ―映画とジャズと小説と

 『ハードボイルド』のほうだけ斜め読み。
 二言だけ。

■日本のハードボイルド、チャンドラリアンの話をするとき矢作俊彦の名前は外せない。
 だが本書には生島治郎結城昌治の名前は出てきても矢作俊彦の名前はいっさい出てこない。
 何故だろう。


■先日の日記で、

原りょうの小説は、ロス・マクドナルドのプロットをチャンドラー『長いお別れ』の訳清水俊二の文体で書いたもの。
 日本人の作品で比べると生島治郎矢作俊彦よりも結城昌治『暗い落日』をはじめとする真木シリーズに近い小説である。」

「『愚か者死すべし』はチャンドラー色がとても薄い。
 似ている作風を探すとマイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンものになる。」

と書いた。

 原りょう結城昌治『暗い落日』新装版の文庫解説を書いていたことは知っていたこともあってそれが上記発想につながったのだが、マイクル・Z・リューイン『季節の終り』の文庫解説も書いていたとは知らなかった。