森谷明子『れんげ野原のまんなかで』

 森谷明子『れんげ野原のまんなかで』(東京創元社 ミステリ・フロンティア 2005年2月28日発行 定価¥1,500+税) 

 市の外れにある利用者の少ない図書館(館長と職員3名プラスアルバイト数名)を舞台にした日常ミステリ。 
 全5話からなる連作短篇集。 
 加納朋子に近くてでも加納朋子よりものんびりとした作風。 

 ミステリとしてはロジック・ミステリに分類される。
 謎解き度は薄めで結論に至る部分のロジックがやや甘いがなんでもない話を謎解きミステリにするセンスが光っている。 

 そして、この作品、図書館好き人間・本好き人間にとって、とてもおもしろい。 
 今年の私的日本ベスト10の中に入れたい。 

 5話中4話が本にからんだ事件であるところもとてもいい。 
 とくに第1話。
 児童文学好きならば思わずうなずいてしまうこと請け合いの快作。