書庫

 11月11日(金)21時テレビ東京『所さんのそこんトコロ』

 学校では教えてくれない疑問に答えてくれる番組。
 折り紙の達人が出るとの情報をもらって録画しておいたのを本日見た。
 折り紙の話はまたいつかすることにして今日は別の話。


 「国会議員はどこで勉強するの?」の質問があり「ここです」と紹介されたのが国会図書館の国会議員用の特別室。
 おお、国会図書館にはそのような部屋があったのか。
 スペースをゆったりとった部屋で座り心地のよさそうな椅子と広い机がおいてあった。
 使っていないときは一般利用者にも開放してくれればいいのに。


 合わせて書庫の一部も映像で紹介していた。
 国会図書館の書庫は地下にある。
 地下1階から地下8階まですべて書庫。
 雑誌を保存している書庫を映していた。
 直ではなかったけれど書庫を見たのは初めてだった。
 一度でいいから入らせてくれ。

Effect is everything

 テレビ朝日11月12日(土)19時〜22時の『超進化!天空の魔術師・HIRO 奇跡の四次元ストリートマジック』は、やりたい放題のマジック番組でとてもおもしろかった。


 この形のマジック番組はアメリカのデビッド・ブレインが始め(最初の頃のアドヴァイザーはポール・ハリスとマイケル・ウェーバーだったと思う)、それがヒットしたので日本でもセロやHIRO SAKAIさんが始めたもの。


 <やりたい放題なんでもあり>にしたのはたぶんHIRO SAKAIさんのほうが最初。
 それを前回のフジTVの特番でセロが<やりたい放題>度をパワー・アップした。
 今回の『天空の魔術師』の放映はHIRO SAKAIさんのセロに対する返答のようなものだろう。



 見ていてとても楽しかった。
 でも、きっとアマチュアのマジック愛好家の一部はなんだかんだと批判するのだろう。
 「スタジオのゲストの前で行ったマジックならまだいいが、駐車場での車のドアの貫通はやりすぎだ。あれはマジックじゃない!」
 「ストリートのマジックであそこに立っていたのは協力者じゃないのか?」
 などなど。


 どんなマジックでもタネとシカケがある。
 このシカケは人前で演じるのはよくてこのシカケは演じてはいけないなんてどこで区別するのだろう。
 (ただ、出来の悪いシカケなのでとても人前では演じられない、または、シカケの扱いが難しくとても人前で演じるだけの技量を持ち合わせていない、という場合はある)


 ステージ・マジックではマジシャンのそばに助手がいる。
 ストリートマジックで助手がいてはいけないのだろうか。
 (ただしサクラの使い方は気をつけなければならない。例えば、予言のマジックで、「好きなカードの名前を言って下さい」と言わせる観客がサクラであらかじめどのカードの名前を言うか決めておく、そのようなサクラの使い方をするマジックはマジックとは呼べない。サクラはどの範囲まで許せるのかいろいろ議論があるのでそれはまた別の機会に)



 マジックは、不思議を、ライブで1人以上の観客の前で演じることができるのであればどのようなタネ・シカケでもかまわないのである。


 テレビでのマジックならなおさらである。

前の席に座るとカードをひくことになる

 奥泉光『モーダルな事象』(文藝春秋 本格ミステリ・マスターズ 2005年7月10日発行)を読んでいる。
 なかなか終わらない。
 饒舌なのだ。
 まるで18世紀のイギリス小説、例えばローレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』(岩波文庫)を読んでいるようだ。
 (などと書いているが『トリストラム・シャンディ』は1巻目で止まったまま)
 おもしろいからそれはそれでいいのだけれどそろそろ次の本にとりかからないと積読の山がいつまで経っても低くならない。


 *     *     *     *


 10月9日、10日とマジック漬け。


 9日ははお台場にあるホテルグランパシフィックメリディアンで<The Close-up>のショー、10日はマジックランドで前日の演者の一人であるヘンリー・エバンスのレクチャー。


 2日とも演者のまん前の席だったのでショーの手伝い(例えばカードをひく役)のため呼ばれる呼ばれる。

 手伝いとして呼ばれて、のお話は明日以降に

『奥さまは魔女』


 二コール・キッドマン主演の『奥さまは魔女』を見てきた。


 軽快なラブコメディ。
 映画館でぜひ見なければという映画ではないのだが最近こういった映画を映画館で見ていなかったのでなかなかよかった。


 上に昇るためには何でもする野心家のように見えるニコール・キッドマンは好きな女優ではない。
 だがこの映画の彼女は可憐でキュート。
 ウーム、女優だ。
 はまり役だ。
 ニコール・キッドマンを見ているだけでニコニコしてしまうそんな映画。



 マイケル・ケインシャーリー・マクレーンはフットワーク軽くでも押さえるところはきちっと押さえ、いやいや2人とも上手いですわ。



 オフィシャルサイトはこちら。
 http://www.sonypictures.jp/movies/bewitched/site/

B13号船室−北村薫トークセッションその1

 カーのラジオ・ドラマ『B13号船室』(『カー短編全集4 幽霊射手』(創元推理文庫))の中でヒロインが<パリの万国博覧会を見に母娘がパリに来てホテルに泊まり娘が外出して戻ってみると母親がいなくなる>話が気になってならないという場面が出てくる。

 その短篇集の編集作業をされていた東京創元社の戸川さんは<パリの万国博覧会で母が失踪>話は誰の作品なのだろうと北村薫さんに電話で尋ね、たまたま知っていた北村さんは「それは、コオリン・マーキーの『空室』ですよ」と答えることが出来たという。

 ここまでは北村さんの『ミステリ十二か月』(中央公論社 2004年10月25日発行)に載っているお話。


北村さん:
 「このことを発表した後すぐ、ミステリ・マニアのみなさんから電話がかかって来ました。
 『北村さん、あれはコオリン・マーキーの『空室』では無いですよ。
 ベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』ですよ』って。
 『B13号船室』が旧『宝石』に訳載されたとき同時に<パリの万国博覧会で母が失踪>元ネタがベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』であることが書かれていて旧『宝石』にはその翻訳も載ったのだと、その人たちは言いました
 単行本化されたことの無い、雑誌に1回載ったきりの短篇を知っているなんて、なんとマニアな人たちだ、とうれしくなってしまいました」



北村さん:
 「調べていくと、どうも<パリの万国博覧会で母が失踪>話は公式化された都市伝説話でいろいろな人がそれを元に作品を書いているらしいことがわかりました。
 コオリン・マーキーの『空室』もその一つですしベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』もそうでした。

 で、ひとつ疑問に思ったのです。
 『B13号船室』のエピソードの元ネタはベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』である、と翻訳されている田中潤司さんは『宝石』に書かれているわけですが、バリエーションがいろいろあるのになぜその作品に特定できたのか、と
 コオリン・マーキーの『空室』でもいいじゃないか、と」



北村さん:
 「ベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』はなかなか読むことができない短篇なので9月に出す『北村薫のミステリー館』(新潮文庫)に収録することにしました。
 そこで、それにあたり田中潤司さんに訊きました。
 何故、カー『B13号船室』の<パリの万国博覧会で母が失踪>話の元ネタをベイジル・トムスン『フレイザー夫人の消失』と特定できたんですかって」



北村さん:
 「田中さんが答えてくれました、一言で。
 『カー本人に訊きました』



 昨日のジュンク池袋での北村薫さんと戸川さんのトークセッションでの一コマ。


幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 4  (118‐20))

幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 4 (118‐20))

忍法帖をつぐ者

 獅子宮俊彦『砂楼に登りし者たち』(東京創元社 ミステリ・フロンティア14 2005年4月15日発行 定価¥1,500)を読書中。

 この人、山田風太郎風の忍法小説・伝奇小説を書けそうな気がする。


 数年前『太閤の復活祭―関ヶ原秘密指令』を書いた中見利男も書けそうな気がする人の一人だったがここ数年小説を見かけない。
 と思いamazonで検索したら新作の『黄金の闇―家康の暗号』が今年6月に出たらしい。
 そのうち読んでみよう。

 

 今月のクリスティ再読。

nobu_magic2005-07-26


 アガサ・クリスティ『象は忘れない』(Agatha Christie 『Elephants can Remember』 1972年作品)(中村能三訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫 1979年1月31日発行)

 年代順でいうとクリスティが書いた最後のポアロもの。
 (『カーテン』は若いときに書いた作品)




 この頃の作品、『復讐の女神』といいこの『象は忘れない』といいどれも名人芸ですねぇ。

 なにやら奇妙な漠然としたことから始まり、ゆっくりと事件が浮かび上がってくるこの形のミステリを書ける人はクリスティしかいないのか。

 横溝正史であればきっと書けたのだろうけれど、『仮面舞踏会』でまた書き出したときは違う方向に行ってしまった。


象は忘れない (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

象は忘れない (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

象は忘れない (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-44)