書店にて−ミステリ好きの会話

 昨日リブロ池袋で「さて、どちらを今日は買ってかえろうか」と2冊の本を目の前に悩んでいると、声をかけられた。
 「SRの会」、「ROM」で知り合ったMさんだった。
 手にはハヤカワ・ポケット・ミステリの新刊ポール・アルテ『カーテンの陰の死』を持っている。
 少し立ち話。



 Mさん「あ、それ、1万円で買えないんですよね」
 見ていたのは『日影丈吉全集 別巻』(国書刊行会
 のぶ「そうなんですよ」
 Mさん「この全集、短篇の巻は未収録のものも含まれていて買いですが、中後期の長篇を買うかどうか迷いますね」
 のぶ「そうなんですよ」
 まだ3巻と4巻を買っていないのだ。
 Mさん「でも1つ買うと全部そろえたくなりますよね」
 のぶ「そうなんですよ」



 のぶ「これとこれのどちらを買おうか迷っていたんです」
 指さしたのは『コーネル・ウールリッチの生涯 (上) (下)』(早川書房
 のぶ「これって、ウールリッチの作品論にもなっているみたいですね」
 Mさん「F・M・ネヴィンズ・Jrが書いているのでエラリー・クイーンの評伝と同じく作品論にもなっていますよ」
 Mさんは読んでいるとのこと。
 Mさん「ネヴィンズはウールリッチのことを○○○○○○と言っているんですよ」
 のぶ「○○○○○○ですか、それはおもしろそうですね」



 のぶ「これも気になっていて」
 指さしたのはパトリシア・ハイスミス『回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949』(河出書房新社
 Mさん「おもしろいですよ。初期に書いたものなので後期ほどほどどろどろしていないですね。リプリーの原型のような登場人物が出てきて」



 と、このような感じで立ち話。
 ミステリ好きが書店で偶然出会ったとある夕方のワン・シーンでした。



日影丈吉全集〈別巻〉

日影丈吉全集〈別巻〉