西澤保彦『生贄を抱く夜』

 西澤保彦『生贄を抱く夜』(講談社 講談社ノベルス 2004.12.5発行 定価¥840)

 神麻嗣子のチョーモンインシリーズ第7弾。
 短篇集。

 短篇集『念力密室!』の後半あたりから、番外の長篇『夢幻巡礼』になるともうそうなっていて、西澤保彦の小説はこの頃はほとんどダーク。
 「生贄を抱く夜」では監禁状態の恐怖をここまで描かなくてもよいのではと嫌悪感を抱くほど執拗に描いている。

 ユーモアがあるのは「情熱と無駄のあいだ」のみ。

 神麻嗣子のシリーズはホワイダニットが魅力のロジック・ミステリだったの謎解き度も薄い。
 かろうじてロジック・ミステリになっているのは「一本気心中」ぐらいか。

 このシリーズの作者の興味はどこへ向かっているのだろうか。
 謎解きミステリの中では数少ないホワイダニットのロジック・ミステリのシリーズだったのでその復活を期待しているのだが。


生贄を抱く夜 (講談社ノベルス)

生贄を抱く夜 (講談社ノベルス)