別冊宝島1117号『大沢在昌特集』

 宮部みゆき京極夏彦と続いたのでそのうち出るだろうと待っていたムックが出た。

 別冊宝島1117号『ALL ABOUT大沢在昌大沢在昌全面協力』(宝島社 2005.3.1発行 定価¥1,365)

 大沢在昌が初めて新人賞に応募した佐久間公の第1作『レスリーへの伝言』の収録がうれしい。



 狭義の意味で「ハードボイルド」をわかっている現役の作家・評論家は少ない、と思う(まったくの私見
 作家では矢作俊彦船戸与一北方謙三逢坂剛、そして大沢在昌
 評論家では小鷹信光、木村二朗、池上冬樹



 「対象をいかに目をそらさず直視し、それをいかに無駄のない言葉で記す」(高城高

 上に書いたのは狭義の意味での「ハードボイルド」の定義。




 原りょうは、『運命』以降のロス・マクドナルドのプロットをレイモンド・チャンドラー『長いお別れ』の清水俊二訳の文体で書いた作家。
 『長いお別れ』も『運命』以降のロス・マクドナルド作品も狭義のハードボイルドではない。
 だから謎解きミステリファンも受け入れたのである。




 現在「ハードボイルド」と言われている小説のほとんどは「私立探偵小説」または「犯罪小説」だ。
 ときには「冒険小説」や「ノワール」を含めて指すときもある。

 もっとも「本格ミステリ」と同じく「ハードボイルド」も定義が拡散していて100人いれば100種類の「ハードボイルド」がある。




 大沢在昌の狭義のハードボイルド作品は佐久間公のシリーズ。
 中でも『雪蛍』が最も狭義のハードボイルドな作品。