プレゼンテーションの名の下に作られる退屈な時間

 番組の中で、海外マジック番組のダイジェストをときどき放映するたけし・所ジョージ楠田枝里子司会の日本テレビ世界まる見え!テレビ特捜部』(毎週月曜日、20時から)。
 2005年1月31日の放送でイリュージョン・マジックを放映していた。

 登場していたマジシャンはグレッグ・フリューインGreg Frewin、メリンダMelinda、そしてミスター・ヴィック。

 久しぶりに見たメリンダのイリュージョン。
 日本語アナウンスで苦笑し考えさせらてしまったのは次のセリフ。
 舞台の中央にはメリンダ、彼女を挟んで二人の男が踊っているところでのアナウンス。

「そう、これはジャングルに迷い込んだ美女を悪の手先がとらえいけにえにするという設定。
なかなか興味深い設定だが、その芝居が続きいつまでたってもイリュージョンが始まらない。
そこで、ちょっと早回し。」

 一つのマジックの演目で、不思議現象そのものが起きる時間はとても短い。

 例えば空っぽの手の中にコイン出現させる30秒程度のトリックであれば、

 ●現象を起こすまでその前提を説明する時間、つまり手には何も持っていないことを示すことに10秒程度、
 ●不思議現象が起きる時間、手の中のコインが現れるのに1〜2秒程度、
 ●現象が起こった後の後処理の時間、手にはなにも仕掛けが無いことを再び示すために10秒強程度、

となる。

 クロース・アップであれば言葉あるいは身振り手振りで不思議現象の前後を説明することになる。
 イリュージョンなどのステージものであれば言葉では無くバックに音楽を流しダンスやパントマイムで説明することになる。

 そしてトリックをマジックにするには、トリックを行うための前説明・不思議現象・後説明にプレゼンテーションを加えなければならない。

 笑いの要素を入れる、サスペンスを強調するための演技を行う、などのプレゼンテーションを加えることでトリックがマジックになるのだが加えたことで現象がぼやけてしまう・現象が起きるまでに間延びしてしまう・見ている人たちを退屈させてしまうとそれはプレゼンテーションとは呼べなくなる。