エド・マクベイン『歌姫』

 エド・マクベイン『歌姫』(Ed Mcbain『The Fruimious Bandersnatch』、2004年作品)(早川書房 山本博訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ 2004.12.31発行)

 新人歌手ターマーの誘拐事件が87分署内で発生した。事件が報じられるやターマーの曲は大ヒットとなり、FBIまでもが捜査に介入してくる。

 『ミステリ・マガジン』の紹介によると87分署シリーズ『キングの身代金』(黒澤明監督『天国と地獄』の下敷きとなったお話)以来の誘拐テーマ・ミステリだそうだ。

 そう言えば87分署で誘拐事件の話を『キングの身代金』以外読んだことがないな。

 この作品ではひとつの事件だけしか扱っていない。
 87分署といえばモジュラー型のストーリー(複数の事件が同時進行するストーリー)なのだがこれは珍しい構成。

 ミステリそのものの趣向のだいたいの見当はつくものの七十歳を越えてもマクベインの達者な職人作家ぶりは健在。

歌姫 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

歌姫 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)