クリスチアナ・ブランド『暗闇の薔薇』

 本日の再読本はクリスチアナ・ブランド『暗闇の薔薇』(Christianna Brand「The Rose in Darkness」1979年作品、東京創元社 創元推理文庫、高田恵子訳 1994.7.22発行)


 ブランド最後の長篇なので他の作品と比べると若干劣り、そのせいだろうかあまり良い評判を聞かないのだが(気のせい?)好きな作品。


 解説で山口雅也は、話がどんどんひっくり返っていく様子はコリン・デクスター風と言っている。
 デクスターのほうが後の作家なので「デクスター風」と書くのは逆といえば逆なのだがイギリスの謎解きミステリ作家のどんでん返しを得意とした代表者でありながら一時期低迷していたデクスターが1990年初頭に『オックスフォード運河の殺人』で復活したのでこのような表現が出たのだろう。
 ひっくり返し方も違って、デクスターの場合モースの推理がどんどんひっくり返っていき、ブランドの場合は読者が「真相はこうなんじゃないの」と思っていたそれがどんどんひっくり返っていく。


暗闇の薔薇 (創元推理文庫)

暗闇の薔薇 (創元推理文庫)