レイモンド・スマリヤン「天才スマリヤンのパラドックス人生」

 レイモンド・スマリヤン「天才スマリヤンパラドックス人生」
(Raymond Smullyan 「Some Interesting Memories : A Paradoxical Life」2002年作品)
 講談社 高橋昌一郎訳 2004.11.15発行 定価¥1,800+税

天才スマリヤンのパラドックス人生 ゲーデルもピアノもマジックもチェスもジョークも


 論理学者、数学者、音楽家、大学教授、クロース・アップ・マジシャンと数々の顔を持つ天才レイモンド・スマリヤンの自伝だ。

 スマリヤン作品の邦訳が出るたび買って読んでいるのだがいったい何冊書いているのか長年の疑問が本書の巻末リストで氷解。
 執筆中のものも含め17冊、著作の八割がたが邦訳されている。

 これまでの作品は『パズルランドのアリス』(社会思想社早川書房)を除いて白揚社工作舎、森北出版など自然科学や数学関係の本を出す出版社からでていたのだが珍しく講談社である。

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 スマリヤンだから自伝とはいっても一般に自伝と言われる自伝の構成をとっていない。
 生い立ちを語り始めるとそれがたちまちパズルになり、話がもとにもどったかと思うとジョークに変わる。

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 30分ほどパラパラと見ての感想。

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 スマリヤンのマジシャン時代のポスターが載っている。
 これは貴重。
 その頃の芸名は「5枚エースのメリル」

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 マジシャン時代スマリヤンはシカゴにいた。

 シカゴのクロース・アップ・マジシャンと言えば、バート・アラートンBert Allerton(1889-1958)、エド・マルローEd Marlo(1913-1991)、ジョー・バーグJoe Berg(1903-1984)、ドン・アランDon Alan(1926-)、マット・シューリエンMatt Schulien(1890-1967)などなど。

 スマリヤンは彼らと友人でありマット・シューリエンのバーで働いていたこともあるとのこと。

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 スマリヤンが本を書き始めたのは、マーチン・ガードナーMartin Gardner(1914-)が『サイエンティフィック・アメリカン』の数学ゲームのコラムにスマリヤンのチェス・パズルを紹介し、それをきっかけにガードナーから書くよう勧められたから。

 マーチン・ガードナーも科学者、数学者そしてマジシャンである。

 マーチン・ガードナーの栄誉をたたえるために行われたあるマジック大会でのスマリヤンとダグラス・ホフスタッター(分厚い科学書としては珍しくベストセラーとなった『ゲーデル,エッシャー,バッハ―あるいは不思議の環』(白揚社)の作者)のガードナーをネタにした寸劇が載っている。

 ガードナーが『奇妙な論理』(Science, good, bad, and bogus 教養文庫→ハヤカワ文庫)の中でコナン・ドイルについて書いていること(どうも邦訳時は割愛されたらし)をヒントにしたこの寸劇、とてもおもしろい。

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 いつか読み終わったとき、詳しい感想を書く予定。