飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』
飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』(東京創元社 2004.8.30発行 定価¥1,600+税)読書中。
降霊会シーンから始まりテレパシーによる遠隔殺人と飛鳥部版『読者よ欺かるるなかれ』か、といった展開をする物語。
いつもの飛鳥部作品と違いとても読みやすい。
いつもは難しい文章、読みにくい文章と言っているのではない。
これまでの飛鳥部作品は、しいてあげればいちばん近いところでパトリシア・ハイスミスのように読者にいやな気分を感じさせながらお話が進む。
そして、ラスト近くなるとやっと「ああ、これはミステリの保守本流、謎解きミステリだったんだ」と気づきカタルシスを味わうひねくれたミステリだった。
今回は「これぞ謎解きミステリ」の雰囲気で話が進む。
中盤では作中人物たちがノックスの十戒やヴァン・ダイン二十則を引き合いに出しミステリ談義を始めだした。
作風の転換を図っているのだろうか。