そんなのだいたい分かるさ

 「今どきは糸なんて使わない」
 「使うとしたら、○○○○と□□□□□」

 これは森博嗣『Φは壊れたね』の中での密室トリック論議の中での西之園萌絵の言葉。
 (○○○○や□□□□□にはちゃんと言葉が入っている)


 森博嗣はマジックのトリックについてある本の中で「だいたい分かる」と言っている人。
 「分かったからってどうなんだ」とか「マジック通でもないのに何を言っているのやら」(もっとも、ミステリ通なら謎解きミステリのだいたいの犯人やトリックがわかるわけではないように、マジック通がマジックのタネをだいたいわかるわけではない。このあたりの話はまたいつか)とか言いたいところもあるのだが萌絵に上の言葉を言わせている森博嗣ならある種のマジックのタネならだいたいわかるかもしれないという気もする。


 ある種のマジックとは、精巧なメカにシカケが頼っているマジック。


 「今どきは糸なんて使わない」
 「使うとしたら、○○○○と□□□□□」
 これはそれらの精巧なメカがタネのマジックのそのまたある分野の△△△△△のタネの傾向にも言え、森博嗣がこのマジックを見たらきっとタネを推測できるだろうしそうなると「マジックのシカケだいたいわかる」と言いたくもなるだろうという気がしたわけである。
 森博嗣だけでなく工学の知識を持っている人であればたぶん推測できるだろうからそれらの人たちも「だいたい分かる」と思っているかもしれない。


 また、森博嗣は建築工学の専門家でもある。
 建築工学の専門家であれば胴体切断のような箱もののマジックのタネも、たぶん推測つくだろう。


 本日はミステリの中の登場人物のセリフから連想したことをとりとめなく話してみた。