小路幸也『HEARTBEAT』

 小路幸也『HEARTBEAT』(東京創元社 ミステリ・フロンティア15 2005年4月28日発行 定価¥1,500+税)


 青春ミステリの快作。
 たぶん村上春樹の影響を受けているのだろうが、伊坂幸太郎作品と同じく村上春樹の物まねでなく独自の路線を出している作品。


 謎解きミステリ度も薄いのだがおもしろい仕掛けがちりばめられている。
 とくに、<HEARTBEAT>の題名が何を意味するか物語りの途中で明らかにされ、それがもっと重要な意味を持っていたことが明らかにされる瞬間がすばらしい。


 「いい話だぁ」と素直に言いたくなる物語。


 作者略歴を見るとメフィスト賞受賞作でデビューとあり、むむ、知らないうちにメフィスト賞はこういった作風を書く人にもあげるようになってきたのか。


 伊坂幸太郎作品好き、米澤穂信作品好き、青春ミステリ好き、はぜひ。


 *    *


 10年前の約束を果たすためアメリカから帰国した青年と、母を失った名家の少年。
 ふたりが出会うとき浮かび上がる、意外な構図。
 「暗闇」の中から帰還した青年の、約束と再会の物語。



HEARTBEAT (ミステリ・フロンティア)

HEARTBEAT (ミステリ・フロンティア)