『ミステリ・マガジン2005年4月号(No.590)』の短篇3つ
『ミステリ・マガジン2005年4月号(No.590)』(早川書房 2005.4.1発行 定価¥840)
●特集「危険な女たち」短篇競作
オットー・ペンズラーが編んだアンソロジーのために書き下ろされた短篇群。
そのうち文庫化かポケット・ミステリ化されるのかもしれない。
■トマス・H・クック「彼女がくれたもの」
(Thomas.H.Cook『What She Offered』、2005年作品)
作家がバーで出会ったのは全身黒ずくめのまるで古いB級映画に出てきそうなステレオタイプの危険な女。
彼女は「いっしょに自殺をしないか」と作家を誘う。
心の闇をテーマにしたストーリーがあるような無いような限りなく普通小説に近い話。
話がよくわからなかったので感想は無し。
■エド・マクベイン「即興」
(Ed Mcbain『Improvisation』、2005年作品)
男が声をかけるとブロンドの女性は提案した。
「誰かを殺してみない?」
男にとってそれはゲームのはずだったのが・・・。
突き放した結末が冷たくなんとも怖い。
七十歳を越えた人がよくまぁこういったお話を書くなぁと。
■ジェフリー・ディーヴァー「生まれついての悪人」
(Jeffery Deaver『Born Bad』、2005年作品)
娘からたった今電話があった。
思いどおりに育たず家出した娘。
久しぶりに対面する母は過去の出来事を思い出し不安にかられた。
こちらはいかにもディーヴァーらしいお話。
ディーヴァーだから何か仕掛けてくるだろうなと構えながら読んでいけば案の定で。
ただディーヴァーにしては少しひねりが足りないかも。