上遠野浩平『禁涙境事件』

 上遠野浩平禁涙境事件 some tragedies of no-tear land』(講談社 講談社ノベルス 2005.1.10発行 定価¥920)


 上遠野浩平のSFミステリ「事件」シリーズの4作め。
 竜が棲み魔道師が操る魔法で支配される世界でおこる事件を解き明かすのは仮面をつけた戦地調停士ED。
 似ている作品をあえて探すと雰囲気はまったく違うがランドル・ギャレットのダーシー卿シリーズか。


 ロジック・ミステリとしては1作めの『殺竜事件』(講談社ノベルス 2000.6発行)が一番。
 ケレンあふれるミステリとしては2作めの『紫骸城事件』(講談社ノベルス 2001.6発行)が一番。
 ファンタジイとミステリのバランスが一番とれているのは3作めの『海賊島事件』(講談社ノベルス 2002.12発行)。


 4作めの『禁涙境事件』は、連作短篇形式のサイコ・ミステリ色が濃い伝奇ファンタジイだ。
 ミステリよりもファンタジイのほうが前に出ているのでミステリを期待した人間にとっては物足りない。

 でも、なにやら得体のしれないものが出てくる第4章が楽しめたので、まる。

禁涙境事件  ”some tragedies of no-tear land”

禁涙境事件 ”some tragedies of no-tear land”