マジックのメカニック

 クロース・アップ・マジック好きのミステリ作家・殊能将之が10/19日記に、マギー司郎の演じる縦縞のハンカチを横縞に変えるマジックと、マジシャン・ムッシュ・ピエールの演じる同様のしかし方法・現象が異なるマジックとを比較して、マジックのトリックと不可能犯罪ミステリのトリックの違いを書いている。


殊能将之は「本格ミステリ」という言葉を使っているが『不思議現象を謎解きして「へえ〜」と言わせなければならない本格ミステリ』と言っているので謎解きミステリ全般を指しているのではなく「不可能犯罪ミステリ」を限定して言っているととらえていいだろう。
 また、マジック全体・不可能犯罪ミステリ全体を指して違いを言っているのではなくそのトリックに限定して違いを言っているととらえていいだろう)


 同感。


 不可能犯罪ミステリの中の密室ミステリを例にとれば、糸を使ったメカニカルな密室はあっけない印象を与える。
 アメリカの不可能犯罪ミステリ大好き人間が集まって密室ミステリ・ベストを選んだときベスト1となったJ・D・カーのあの作品などは専門的すぎてわかりにくい。
 (「専門的すぎてわかりにくい」は、不可能犯罪ミステリ大好き人間であれば楽しめるけれどそうでないミステリファンは楽しめない、を意味して使った)


 秀逸な不可能犯罪ミステリのトリックとは、不可能犯罪ミステリ大好き人間だけでなくそうでないミステリ・ファンも楽しめる不可能犯罪ミステリのトリックとは、「単純なトリックで読者の盲点をつ」くトリックである。