もう一度ミスディレクション談義


 本日の日本テレビ世界一受けたい授業』の1番めの講義は立教大学文学部心理学科教授の芳賀繁、「人はなぜミスを犯すのか?ヒューマンエラーの謎」。


 テストとして見せられたのがアメリカの認知心理学者の権威ナイサー博士が作ったビデオ。
 ああ、これは先日の箱根クロース・アップ・マジック・コンベンションのミスディレクション講義で見たビデオ。


 芳賀繁いわく、
「ひとつのことに注意を集中すると他のところが不注意になる」
「注意と不注意は同時に存在する」


 うむ、これはそのままミスディレクションにはあてはまるではないか。


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 「ミステリ・マガジン」(早川書房)の次号(2006年7月号)から「絞首人の手伝い」分載が始まる不可能犯罪作家ヘイク・タルボット(ハヤカワ・ポケット・ミステリ『魔の淵』の作者でもある)は本名をヘニング・ネルムズと言い、最初弁護士の職業につきその後マジック舞台の演出の仕事に転向した。


 ヘニング・ネルムズ(=ヘイク・タルボット)はマジック専門書を一冊書いている。


Magic and Showmanship: A Handbook for Conjurers (Dover Magic Books)

Magic and Showmanship: A Handbook for Conjurers (Dover Magic Books)


 他のマジック専門書の中でよく引用される本なのでセミ・クラシックな専門書と言ってよく、ある程度マジックを学んだ中級者・上級者向けのマジックのプレゼンテーション理論書。


 ミスディレクションの章では最初にこんなことを書いている。


 「役者は重要な場面では何が起こったかをはっきりわからせるために観客の注意を自分に向けさせる。
 いっぽうマジシャンは秘密から観客の目をそらせるミスディレクションを行う。
 観客の注意を向けることと、そらすこと(ミスディレクション)は別々のものであるという誤解があるが、実際は同じテクニックであり、違いは目的とするところだけである。」



「ひとつのことに注意を集中すると他のところが不注意になる」
「注意と不注意は同時に存在する」
 あてはまるでしょ?